フリーサーキット  普通のリレーで組むワンショット回路とエッジ検出回路 018
 「フリー・ソフト」という無料のソフトウェアがある。
 「フリー・サーキット」という無料の電気回路があってもいいじゃないか。・・・・ということです・・・

 普通の制御盤回路には殆んど出てこないが「ワンショット回路」があると回路が簡素化・単純化できる場合がある。
「ワンショット回路」と似たものに「エッジ検出回路」がある。
エレクトロニクス業界の人が「ワンショット回路、エッジ検出回路」と言えば、IC回路を思うだろう。 しかし普通の
リレーだけでもそれらは出来る。 リレーの動作時間でのエッジで、ICの様に速くはない。どちらかというと、
すっごく遅い。
ICを使わない、普通のリレーとタイマーの回路をいろいろ紹介しよう。

  スイッチの勉強もしよう → 接点の基本(スイッチ、リレー)
  リレーを駆動するときのスナバ回路 も参照

ワンショットの出力のタイプ

      下のタイミング図のように、入力時間と出力時間の関係で2種類ある。  

基本は、入力に対し設定された一定時間だけ出力がある。
(長い入力に対して短い出力。)

@ 短い入力でも、基本と同じ出力時間になる。
(出力より入力の方が時間が短い。)

出力は、入力の時間に関わらず、設定された一定時間になる。

A
 
入力の時間が長い時は基本と同じで、一定時間だけになり、
設定出力時間より入力が短いときは入力時間と同じ出力時間。

出力は、設定時間か入力時間かのどちらか短い時間になる。


普通のリレーでワンショット回路を組む(立ち上がりエッジ検出回路)
交直両用(適したリレー使用) (出力タイプはA)
タイミングチャート
R1、R2、R3、R4は普通のリレー。

 入力オンで、R1からR4まで順にオンになっていき、R4がオンになる 時点でノーマルクローズ接点(ブレーク接点)からの出力が切れる。
入力が切れた時は出力も切れる。 (タイミングチャート参照)
出力時間はそれぞれのリレーの動作時間による。 上の図の場合、例えばリレー1つ当たりの動作時間が
10msだとして出力時間は「30ms+ちょっと」になる。
(「ちょっと」の時間は、R4のコイルに電流が流れ始めてからブレーク接点が切れるまで。)
また、R3の段階で出力すれば「20ms+ちょっと」、R5を追加して「40ms+ちょっと」も可能になる。

交直両用(適したオンディレー・タイマー使用) (出力タイプはA)
 0.05秒以上のワンショット出力時間を得たい場合は、リレーを重ねるより、タイマーを利用した方が良い。
   オンディレー・タイマーの設定時間が「ワンショット出力時間」になる。
この回路も、入力が切れた時は出力も切れる。


 
普通のリレーでワンショット回路を組む(立ち上がりエッジ検出回路)
交直両用(適したリレー使用) (出力タイプは@)


 

R1、R2、R3、R4は普通のリレー。

回路図は分かり易いように、各リレー毎の回路に
分けて書いた、つもり。
(実際に使うときは接点を節約できる接続をすると
良い。)


動作はタイミングチャート参照

考え方は、R1が入りっぱなしとして、
R1でR2を自己保持させる。
R2でR3自己保持させる。
R3でR4自己保持させて、R2を切る。
R2が切れても、R3はR1が入っている間は切れ
ない。 R4もR3と同じく切れない。

つまり、R2だけが短時間でオン・オフするから、
R2の電圧を出力としてもいいし、R2の他の接
点を利用してもいい。


(この回路は入力の時間幅が、R2が自己保持
出来るまであれば動く。 このことを「トリガー」が
かかる、と表現する。)
タイミングチャート



 
普通のリレーとタイマーでワンショット回路を組む(立ち上がりエッジ検出回路)
交直両用(適したリレー使用)
 (出力タイプは@)
  
タイミングチャート  (Tの太線部分はタイマー動作中。)



 R1が接点が動きR2に電圧がかかった時には、R2の自己保持回 路のT接点からの回り込みで出力されるから注意。

  参照 → 自己保持したリレーをオンディレータイマで切る回路
R1、R2は普通のリレー。 Tは普通のオンディレータイマ。
この回路はR2が自己保持できれば、あとはタイマーで設定した時間だけ出力する。


 
普通のリレーにCRを加えてワンショット回路を組む(立ち上がりエッジ検出回路)
直流用 (出力タイプはA)

  


R1は普通のリレー。 Cはコンデンサ、Rは抵抗。

コンデンサ容量と抵抗値は、ワンショット出力時間とR1のコイル内部抵抗
及びR1接点動作時間に加え、入力の間隔時間を考慮して決定。
 (この作業が一番大変だろう。)


 
普通のリレーにCを加えてエッジ検出回路を組む(立ち上がり、立ち下りの両エッジ検出)
入力は交直両用(適したR1使用)
電源は直流24Vで実験
  

R1、R2は普通のリレー。 Cはコンデンサ(有極性でも可)
(Cには、内部漏れ電流の極めて少ない物を選びたい。)

左の回路図では、出力がプラスの直流だが、R2の接点を電源から
切り離し自由に使って差し支えない。

下の表はR2に2cのリレーで実験を行った結果。
コンデンサ表記
(縦型電解)
実測容量 出力時間
[ミリ秒]
50V 470μF 454μF 460
25V 330μF 327μF 350
50V 220μF 206μF 220
25V 100μF 102μF 108
50V 47μF 45.4μF 48
50V 33μF 33.7μF 34
22μF以下 動作せず
使用リレー:HC2-H-DC24V
 直流内部抵抗:615Ω

見て分かる通り、出力時間は
ほぼコンデンサ容量に比例し、
しかも「μF」を「ms」に読み替
えるだけで良い。
これは現場で使える。


(しかしこの時間数は、リレー
の構造で違うはず。)
R2には、LEDの動作表示付きは使えない。 なぜか?
  R2のコイルに流れる電流の向きは、コンデンサの充放電で反転する。


 下は、エッジ検出の「立ち上がり」と「立ち下り」を別々に出力する回路。
左の回路では、「DC電源」から出力するようにして
あるが、出力回路を独立させてもいい。


 
普通のリレーにCを加えてエッジ検出回路を組む(立ち上がりエッジ検出)
入力は交直両用(適したR1使用)
電源は直流
  

基本は上の回路と同じで、出力を入力から得る。


これは、ワンショットと同じ出力が得られる。(出力タイプはA)



 

普通のリレーにCRDを加えてエッジ検出回路を組む(立ち上がりエッジ検出)
入力は交直両用(適したR1使用)
電源は直流
  



基本の回路に、抵抗RとダイオードDを加える。

ダイオードDはR2の動作を制限する。
抵抗Rで接点に流れる電流を制限する。

R1がオンの瞬間、コンデンサの充電電流がR2に流れてワンショット
出力を出す。



普通のリレーにCRDを加えてエッジ検出回路を組む(立ち下がりエッジ検出)
入力は交直両用(適したR1使用)
電源は直流
  


基本の回路に、抵抗RとダイオードDを加える。

ダイオードDはR2の動作を制限する。
抵抗Rで接点に流れる電流を制限する。

R1がオフの瞬間、コンデンサの放電電流がR2に流れてワンショット
出力を出す。


タイミングチャート


  

上の回路のリレーR2の場所を変更したもの。


 上の回路も同じだが、R1がオフの時間が長くてコンデンサの電圧が
下がる使い方に限れば、スナバ用ダイオードは省略できる。


下は上の回路をAC動作にしたもの
  

リレーR1は交流用、リレーR2は直流用

抵抗r1はコンデンサ充電時の電流制限用
抵抗r2はリレーR2電圧調整用










普通のリレー4個とコンデンサで、立上り・立下りの両エッジ検出回路を組む
       (コントローラ用信号を出力する実用回路)
 

 
基本は上の回路と同じ。

入力信号でR1を駆動。
R2はエッジ検出用。
 (動作時間は上の実験結果を参照)
R3、R4で各タイミングを作成。
R2、R3、R4の各接点からコント
ロール信号を出力する。


青色で書いたR5、R6、R7はコント
ロール用で、実際に制御に使用する
とタイミングチャートの様な動きになる。
タイミングチャート

上の回路図ではR2からR7が直流用リレーにしてあるが、
エッジ検出のR2だけは直流用リレーで、R3からR7を別電
源にすれば交流・直流でも電圧も自由だ。


この回路を利用するにあたっての注意点
 この回路のリレーの切り替わり動作タイミングはミリ秒(ms)
の単位だ。 R2、R3、R4には同一規格のリレーを使用した
方が良い。 出力リレー(R5、R6、R7)のリレーも同じ。 


 リレーを駆動するときのスナバ回路 も参照



 

 

上の回路は、立ち上がりと
立下りをR7で出力していた
が、左の回路は立ち上がり
をR7、立下りをR8で出力
する。
タイミングチャート

この回路の応用として、単純なシフトレジスター回路が出来る。





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